こんにちは!元日本語教師るんです。
「日本語教師はやめたほうがいい」「日本語教師はやばい」と言われますが本当でしょうか?
私は日本語教師経験があるので、日本語教師は「やめたほうがいい」「やばい」と言われる理由もわかります。
それは日本語教師の仕事は「忙しいわりに給料が安い」「雇用が不安定」と言われていますし、私自身もそのように感じたことがありました。
この記事では「日本語教師やばい」という真相とそれを踏まえたうえで、日本語教師に向いている人を解説していきます。
日本語教師はやばい!給料が安い、雇用が不安定
日本語教師はやばい!と語られるときに最初に出てくるトピックは「給料が安い」ということ…。
私も「日本語教師になりたい!」と相談を受けたら一番に「給料が安いからやめた方がいい」と言ってしまうかもしれません。(もちろん最終的に決めるのは相談者ですが!)
①日本語教師は給料が安い
私は日本語教師に憧れでなったので、給料が安いという現実は後から知りました。
日本語教師を目指す前に日本語教師のお給料事情を調べていれば、日本語教師になることを躊躇していたかもしれません。
ちなみに私が勤めていた日本語学校は1400円/45分からのスタートでした。
金額だけ見れば安くないと思われるかもしれませんが、日本語教師には授業準備が必要です。
最初のうちは授業準備に何日もかけて10時間くらい使っていたと思います…。時給数百円の世界でした(笑)
日本語教師の給料が安くなってしまう事情としては主に①授業準備に時間がかかる②アジア圏の学習者が多く、授業料を高くできない③ボランティアが多い業界事情、の3点があげられるかと思います。
①の授業準備に関してはベテランの方を除いて、結構ずっと付きまとうものではないかと。
私も休日はほとんど準備に明け暮れていました。
私の場合は、よほど向いてなかったのか、数年たっても準備時間が短縮されることはなく次第に苦痛になってきました。
また、日本語教師になって痛感したのですが国内の日本語学校はアジア圏の学習者が多く授業料を高くできない事情があります。
日本より物価の安い国の学習者は日本語学校の学費を借金をしてなんとか賄って、日本でもバイトで授業料を稼いでいます。
そんな姿を見て何度切なくなったかわかりません…。
逆に言うと、日本語学校ではなくビジネスパーソンをお客さんにする、自分でフリーランス日本語教師として活路を見出す等すれば、収入が上がる可能性はあるでしょう。
日本語教育はボランティアから発展したこともあり、ボランティアによって支えられている特殊な事情があります。
そのため、悲しいかな相対的に日本語教師の給料が安いという側面が未だにありますね。
日本語教師を国家資格にするという動きもスタートしますが、待遇の根っこが改善されない限りあまりいい結果にはならないかと個人的には思っています。
②雇用が不安定
日本語教師は社会情勢に左右される職業で雇用が不安定です。
東日本大震災のときは留学生が減ったと言われていますし、コロナでも留学生が来日できない事態となりました。
日本はもちろん世界的に何か事件・事故・自然災害などがあった場合に学習者が減ります。
私もコロナで1年以上待機せざるを得ない状況でした。特に日本語学校の非常勤の雇用は不安定です…。
コロナ禍でオンラインが発達したことにより、独学で日本語を学ぶ学習者も多くなりました。
ますます日本語教師の存在意義が問われています。
しかし、一見条件が悪くても日本語教師を天職!と思って取り組まれている方もたくさんいるのも事実です。
これ以降は日本語教師に向いている人・日本語学校に向いている人を解説しています。
ご自身が日本語教師に向いているか知りたい方はぜひご覧いただけると嬉しいです。
日本語教師に向いている人・必要なスキル10選!
①教えるのが好きな人
日本語教師は教えるのが好きな人が向いています。
考えてみれば当たり前ですが、現場の日本語教師は他の国の学習者に日本語を教えるのが主な仕事です。
日本語教師になりたい皆さん、人に何かを教えるのは好きですか?
同業者の友達は「教えるのが好きで楽しい!」と心底言っていました。そういう人は本当に天職で向いていると思います。
私の場合は「教える」ことに向いてなかったので苦労しましたが・・・またその話は追々出来たらいいなと思います(笑)
②コミュニケーション能力が高い人
「コミュニケーション能力が高い人=話がうまい人」みたいなイメージありますが、もちろん話がうまいのも大事なんですけど、「相手の話を聞く、汲み取る力」もそれ以上に大事です。
特に日本語学習を始めて間もない学習者は自分の意志をうまく日本語で伝えられないことが多々あります。
そんなときに“こういうことを言いたいんだな”と汲み取れる力は大事ですね。
あとは、学習者のレベルに応じては、日本語特有の遠回し表現は通じません。
「物事をはっきり端的に言う能力」も持っている人も向いていると思います。
③常に学ぶ姿勢を忘れない人
日本語教育は日々アップデートされていくもの。今は新しい教科書もどんどんでるし、オンライン化も進み、昔の教え方とは違うことも色々とあります。
また日本語教育のセミナーも多々あるので、必要に応じて有料でも学びに行く向上心を常に忘れない心が必要です。
ただ、あんまりいろいろな情報を入れすぎるとわけわからないので、それと同時に情報の取捨選択も大事かも。
いろんな勉強会やセミナーを受けてきたので、また別記事で。
④英語(語学)ができる人
お恥ずかしながら私は英語ができません。(笑)
“国内の教育機関で働く場合は英語は特に必要ない”と言われているサイトなども多いです
しかし、やはり日本語教師として働く中で感じたことは「英語ができるに越したことはない」ということ。
特に英語圏や英語が堪能な学生は「この日本語は英語で何ですか」と質問してきます…。
英語が不得意な私はその手の質問が苦手でした…。(笑)
学習者の気持ちがわかるので英語ではなくても何らかの語学学習経験はあったほうがいいと思います。
⑤人と関わるのが好きな人
やっぱり人相手の職業だから人と関わるのが好きな人が向いています。
学習者のプライベートにも踏み込むこともあるので、人に興味が持てる人がいいですね。
⑥日本や日本語の知識が豊富な人
日本語教師なんだから日本語のことはもちろん日本のことにも詳しい人が向いています。
雑談とかで、日本の時事問題とかタイムリーな事件事故の話とか聞かれることも多いです。
私は時事問題がめっちゃ弱かったので、未だに反省しています(笑)
⑦成長を見守るのが好きな人
人の成長を見守るのが好きな人は向いていますね。
これぞ教師の醍醐味って感じしませんか?
教師ではなくても、インストラクター的なお仕事やマネジメント色が強い仕事なども同じことが言えそうです。
⑧メンタルが強い人
日本語教師は他の教師と連携することはあっても、教えるときは基本1人です。
日本語学校などのクラス運営時は教室内に他の国の学習者がずらっと並び、自分だけが日本人という構図です。
日本語教師なりたての頃は特に学習者の視線が教師に集中しているのって結構威圧感あるんですよね…。
私が担当した学習者は基本的にみんな素直でいい子たちだったので、逆に助けてもらうことが多かったですが、別の教育機関の先生の話を聞くと、「全然授業を聞いてくれない」と嘆いていました。
正直なところ、学習者との相性もあります…。
相手がどんな学習者であっても粛々と授業を進められるメンタルが強い人が向いています。
⑨臨機応変に対応できる人
事前に考えていた想定通りに進まないのが授業。それも面白くもあるんですけどね。
時には自分が考えもしなかった質問なども飛び出します。
そんなとき、冷静に且つ柔軟に臨機応変に対応できる人が向いています。
⑩学習者のために創意工夫できる人
同じ文法でも担当している学習者やクラスによって、提示する例文やどこまで説明するかは変わってくるもの。
学習者の日本語能力向上を願って創意工夫できる人が向いています。
【補足】日本語学校に向いている人・必要なスキル5選!
補足で、上記に加え今回は留学生相手の日本語学校に向いている人はどんな人かを解説しています。※ここでは非常勤講師を想定しています
日本語教師は日本語学校・企業・技能実習生・キッズなど対象によって必要とされるスキルは様々です。
もちろん日本語学校によっても特色があるので一概には言えませんが、ここでは個人的な見解を述べます。
①協調性がある人
日本語学校は協調性がある人が向いています。
日本語学校にもよりけりだと思いますが、月曜日は●●先生、火曜日は●●先生・・・と曜日によって割り振りがあるティームティーチングを採用していることが多いです。
非常勤の場合は常に学校にいるわけではないので他の曜日の先生と顔を合わせることはほとんどないと思いますが、協調性は大事です。
以前、とんでもなく暴走する先生と一緒のクラスを担当することになりました。
自分の担当箇所は間違えているし、私が入る前の日に学生にPCを売りつけていたこともあり、私の授業の時に、その先生の苦情が出てきたりと迷惑だった記憶があります。(笑)
②学校の方針に従える人
日本語学校は学校の方針に従える人が向いています。
定期的に先生の意見を吸い上げて改善する教育機関ならいいと思いますが、現実はそうもいかず、残念ながらある程度学校の方針は決まっています。
私が元いた学校の初級クラスの教科書はみんなの日本語でした。
みんなの日本語は今の時代に合わない教材と批判されることが多いです。
しかし、今でも広くいろんな国の教育機関で使われているのも事実で、翻訳本、副教材が充実していいるメリットもあります。
今の時代に合わないからみんなの日本語をやめて他の教科書にしましょうってのは非常勤の力では無理です。
メインの教科書ひとつとっても変更は容易ではありません。
③試験対策ができる人
日本語学校は試験対策ができる人が重宝されます。
これは養成講座時代には知らなかったのですが、日本語学校では日本語能力試験(JLPT)の合格やEJUが最優先課題です。
日本語学校にいる学生は基本的には長期的に日本に住んで生活・就職を考えているので当然と言えば当然ですが、進学・就職の際に日本語能力を証明する必要があるのでこの試験が重要です。
従って、日本語学校でも初級の教科書が終わった後は試験対策が多くなります。
④学生をよく観察できる人
非常勤の場合、授業の時だけその学校に来るというスタイルなので、学生とずっと過ごすわけではありません。
とはいえ、学生に何かあれば担任の先生なり他の先生と共有する必要があるので学生の些細な変化を見逃さない人、いろんな学生に気を配れる人が向いていると思います。
⑤自分の担当を過不足なくこなせる人
日本語学校は自分の担当を過不足なくこなせる人が向いています。
これは日本語学校がティームティーチング制だからというのも大きいのです。
担当の学習項目が何らかの事情で終わらない場合、また次の日の授業も自分であれば帳尻を合わせることができますが、次の日の担当が別の先生の場合、引継ぎを行う必要があります。
どうしても、の時は仕方ないですが、なるべく自分の担当は過不足なくこなせるようにしたいものです。
まとめ
日本語教師・日本語学校に向いている人はどんな人かおわかりいただけたでしょうか。
「日本語教師はやめたほうがいい」「日本語教師はやばい」と言う人もいるのは事実ですが、それは他人の意見です。
オンライン日本語教師やボランティアなど日本語教師の資格がなくても日本語教師の仕事を体験できる場所はあります。
まずはご自身でやってみてから「日本語教師を続けていくか」判断してもよいのではないでしょうか。